昨日の記事の続きです◎
今回泊まった6合目の宿は里見平☆星観荘という山荘だったのですが、この時点で既に標高2000m越え。
狭い部屋内で寝袋で寝るということもあり、やはり多少の寝苦しさはありました。
明日からまだ2日間あるのにあんまりちゃんと寝れなかったなー…と思いながら翌朝仲間と話していたら
「えっ?こころさん、熟睡してましたよ??」と言われました🙄笑
2人で御来光を拝み、ゆっくり身支度をして朝食を頂きました。
この日は東京からの仲間たちと合流日だったこともあり、チェックアウト時間ギリギリの8:00に山荘を出発しました。
いよいよサポート本番
仲間たちと合流するのは9時台だったのですが、それまでの間暇なため、ウォーミングアップとして6合目まで登ってみることに。
この時に地図で等高線を確認しながら実際に登ってみたことで、大体のルートの雰囲気や勾配具合などを前もって確認することができました。
このルートの感じなら登山に不慣れなメンバーでも大丈夫そうかなと思いきや、この時点で1日目よりも風が強くなってきており、、、
これ…天気大丈夫かな…と一抹の不安を抱えながら5合目スバルラインへと向かいました。
2日目:吹き荒れる強風の中8合目蓬莱館を目指す
5合目に到着し、東京からの仲間たちと合流した頃には風はさらに強くなり、ごうごう、びゅうびゅうと音を立てながら吹きつけていました。
入山料の支払いや身支度をしながら高度順応を済ませ、いざ全員で登山スタート。
この日私が歩いていたのは、隊列の最後尾。
まさにあの時見えたイメージと同じ光景です。
ちなみに隊列の一番前は、0合目から一緒に登ってきた仲間。登山経験者の先導はとても心強かったです。
これからがいよいよサポート部隊としての本番だな、と気を引き締め、一歩一歩進んでいきました。
7合目あたりから岩場が多くなるのですが、そのあたりからはもはやかなりの強風が吹き荒れていました。。。
富士山は独立峰(周りに同程度の標高の山脈など風を遮るものが一切なく、一匹狼みたいな吹きさらしの山のこと)のため、風の影響をダイレクトに受けやすいのです。
風があまりにも強すぎて小粒の石や砂を巻き上げながら吹きつけてくるのですが、それが顔に当たると痛い痛い( ; ; )
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徐々に標高が上がり酸素がだんだんと薄くなる中、歩けども歩けども見えてこない宿泊予定の山荘…
さらに、小柄だったり華奢な人はかがんでいないと今にも吹き飛ばされてしまいかねないレベルの風に長時間晒され、だんだんと仲間たちにも疲労の色が出てきているのがわかりました。
行動食を積極的に食べたりお互いに励まし合いながら一歩ずつ歩みを進め、なんとか全員無事に宿泊予定の8合目蓬莱館に到着。
ここでかなりほっとしたのを覚えています😂
山頂に行くか否かの葛藤と決断
山荘に着いてほっとしたのも束の間、、、
山荘内がめちゃくちゃ寒いのです🥶
それもそのはず、蓬莱館は標高3150mの場所にあるため、平常時でも地上よりおよそ20度は気温が低くなるのです。
この日はそれに加えて太陽が雲に覆われて見えなくなっており、さらに冷たい風がびゅうびゅうと吹きつけていたため、体感温度としてはもはや0〜5度くらいに感じていたのではないでしょうか。。。
私は味噌汁を注文して飲んだり、服も持ってきたありったけのものを着込んだことで寒さは特に大丈夫でしたが
カイロを何枚も貼ったり毛布にくるまって暖を取ったりしてもなかなか寒気が取れないという仲間もいました。
そしてこの標高まで来ると、軽い高山病一歩手前のような症状が出てきた仲間も…
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晩御飯まで皆が各自の部屋で暖を取っている中、私は0合目からの仲間とミーティング。
次の日は山頂まで登って下山予定でしたが、そもそもこの天候で山頂まで行けるのか、撤退や中止も考えないといけない可能性もある上、各自の体調や残りの体力を考えた時に今の7名のメンバー全員で登頂できないことは明らかでした。
そこで、山頂アタックチームと下山チームに分かれることにしたのですが…
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私は前回の富士山でも登頂しているため、メンバーに何かあれば登頂は諦めて下山チームにつこうと前々から決めていました。
しかし、ここまで来てしまうと山頂へ行きたい気持ちが少し顔を出してしまい…
でも私はサポートをするためにこの山に来たのですから、一応仲間に打診してみて
やはりどうしても私が下山チームにつく必要がある場合、その時は意を決して自分の思いは胸にしまい、役割を全うしようと思い直しました。
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半分ダメ元で仲間たちに打診してみたところ
実は私と0合目からの仲間の他に、もう1名サポート部隊として来てくれた仲間がいたのですが、その方が下山チームの先導を請け負ってくれました🥲✨
下山チームが道迷いをしないよう、紙地図と地図アプリのスクショなどでルートを共有し、気をつけるべきポイントなどをシェアした上でお任せすることになりました。
ミーティング終了後に突如現れた虹
晩御飯のあと、チームでミーティングをし、明日以降は山頂アタックチームと下山チームに分かれ行動することを全員に共有しました。
ちょうど話し合いが終わった時に、山荘のスタッフさんが「虹が出ていますよ」と教えてくれました!
この時の虹が本当に綺麗で、、、
この時も風は依然として強く、次の日の山頂のてんくら予報もCのまま変わらずだったのですが、何だか幸先良い予感がして
何も根拠はないのですが明日は大丈夫だよと言われているような、何かに護られているような気がしました。
虹はあっという間に、一瞬で消えてしまいました。
ですがこの虹を見ることができたのは、全員が希望を持つという意味ではとても大きかったです。
3日目:山頂アタックへ
蓬莱館(標高3150m)では6合目の星観荘以上に寝られず、意識しないとかなり呼吸が浅くなっているのがわかりました。
起きるたびにロングブレスで呼吸し直し二度寝するも、やはり熟睡できず…
一応目覚ましをかけておきましたがその必要もなく、早朝3:30には勝手に目が覚めてしまいました。
最後のパッキングをしていると、だんだんと御来光が見えてきました。
前日は夜中まで風がごうごうと吹き付け、まるで台風が来ている時のような音がしていたのですが
夜が明けてみると風はかなりおさまり、山頂も晴れ時々曇りの予報に変わっていました。
山頂アタックメンバーは全員かなり早くに目覚めていたようで、予定時刻よりも早く出発することができました。
かなり標高が高いのでゆっくりと一歩ずつ、進んでいきます。
この日も先頭は0合目からの仲間、最後尾は私でした。
蓬莱館から上にも山荘がたくさんあったため、山荘ごとに休憩を取りながら登っていきました。
本8合目(3450m付近)に到着する頃には、朝起きた時にはほとんど吹いていなかった風がまた徐々に強まってきて、たまに突風が吹きつけてくるようになりました。
この時点で少し寒くなってきて、なんか味噌汁でも飲みたいな〜と思っていたところ、0合目からの仲間が低体温症一歩手前の症状が出ていたようで、皆で山荘に入り味噌汁を頂くことになりました。
身体の中から温めることでかなり元気が出てきました!
0合目からの仲間も少し回復したようで、ここで山頂の寒さに備えて服を重ね着することもできました。
山頂到着・ミッション決行
山荘を出てまた歩き始めたのですが、0合目からの仲間の調子がなかなか戻らず、手も冷え切ってかじかんでいるようでした。
私は手袋を持参していたのですが、家を出る前になぜか「なんか…何となく…もう1つの分厚い手袋も持って行っとこう…」と思い、手袋が2組ある状況でした。
0合目からの仲間は手袋を持参していなかったようで、なんとここで分厚い手袋が役立ったのでした。
山頂アタックチームの女性陣でその方の手を温めあい、手袋を装着して登山再開。
ゆっくりと歩みを進め、ようやく山頂手前の鳥居が見えてきました!
そして、吉田ルート最高峰へ。
前日から撤退や中止の文字がちらつきながらも山頂アタックを決行していたため、無事に山頂まで辿り着けた時には喜びもひとしおで、皆でハイタッチ🙌☺️✨
私たちはお鉢は巡らず、ミッションを終え、その足で下山することになりました。
人をサポートする側に回る時に最も重要なことは
下り私が先頭になり、下山開始。
この時には0合目からの仲間の体調も戻ってきたようで、ほっと一安心。
皆のペースを見ながら、歩きやすそうな場所を歩くことを心がけました。
富士山は標高3,776m。
登りは延々と登り続け、下りは延々と下り続ける山なんです。
下山開始から1時間ほどたった頃、前々から下山に不安があると言っていた仲間の膝が痛み始めました。
この仲間は前日朝にぎっくり腰をやってしまっていたり(その状態で登頂してるの普通にすごいんですけどね…)、いろいろな体の要因が重なり、最終的には座るのも歩くのもかなりキツそうな様子でした。
その方のザック内の荷物を仲間で分けて持ってもまだ辛そうで、
これはザック丸ごと預かった方が良さそうだと判断して声をかけ、その方のザックを他メンバーで代わる代わる持ちながら下山しました。
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この時ふと、私のファーストエイドキットの中に、なんとなく入れてきたエアーサロンパス(薬局でもらった小さな試供品)があったことを思い出しました。
このエアーサロンパス、小さいから山にちょうど良いやん!と思い毎回登山に持って行くも、毎回使わずに終わる…ということを繰り返し未使用のままでした。
家で持ち物を整理している時、今回の富士山も結局使わないかな…と思ったのですが
いや、でも、なんか知らんけど使うことがあるかも…と思い、持ってきていたのです。
ここでようやく使う時が来ました。
その仲間にエアーサロンパスを譲り、仲間も少し痛みが和らいだようで良かったです。
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本当に面白いのが、
自分の不安から持ってきたストックは全然使う場面がなく
「なんか分からんけど…持って行っとこか」で持ってきた持ち物はほぼほぼ人の役に立ったという結果です。
おそらく私の無意識的な部分が、これ山で使うことになるよ〜!とサインを送ってくれていたのでしょうか。
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人をサポートする側に回る時、もちろん知識・技術や人をサポートできる余裕(精神的・体力的・金銭的な余裕)が自分にあることは大前提なのですが
その上で、意思決定や重要な判断をどのような感性(心の状態)で選択するのかが最も大切。
今回は結果から学ぶ形になりましたが、本当はそうなる前に自分の心の機微を的確に察知し、適切な判断ができるようになるのがベストだなと気づきました。
7名全員が無事下山
膝を痛めた仲間も頑張って歩き切り、先に下山していた仲間たちと5合目で再会し、登頂の喜びを分かち合いました🙌
前日に体調が優れなかったメンバーたちもすっかり体調が回復したようで、次回また富士山をリベンジしたい!と笑顔になっていました😊
8合目まで頑張って登ってきて、ここまで来たら登頂したい思いがあっただろうに、チーム全体のことを考え下山を決断してくれたこと、本当に感謝です。
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ちなみに私たちが下山する頃には山頂付近にかなりの雲が集まっており、悪天候であることは明らかでした。
後から知ったことですが、この日のその時間帯に山頂付近で死者も出ていたようで…
そんな中、私たちは雨に降られることもなく、7名の誰も怪我や重症を患うことなく全員が元気に無事に下山することができました🌈✨
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下山後は温泉に入り、砂と汗まみれの身体を綺麗さっぱり洗い流し、解散しました✨
人生の次のステップへ
私の中では今回の富士登山がとても大きくて、この登山は絶対に成功させたかったからこそ、いろいろな調整をして準備をしてきました。
その登山が無事に終わった今、安心して人生の次のステップへと進むことができそうです☺️
そのステップへ進むと、うまくいけば当分登山は出来ない体になるのですが、そこへ進むのもまた楽しみでもあります。
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今回の富士登山にあたり、全国各地から応援を送ってくれていた仲間たち
そして私を物心ともに側で支えてくれた旦那に、この場を借りて感謝を。
次はどんなことが待っているのか、楽しみにしながら進んでいきたいと思います。
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